【執筆者】マネースミス 吉野 裕一

日本では住宅ローンの金利を決める際に参考にする国債の利回りが低い状態が続いていました。
国の中央銀行にあたる日本銀行(日銀)がゼロ金利政策をとっていることも要因のひとつです。未だにゼロ金利政策は採っているものの、長期金利の上限に関しては、引き上げを行っています。
そこで今後の住宅ローンについての注意点を考えてみました。

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今後の日本にも高インフレの可能性が・・

海外の国々では新型コロナウイルスによる経済の低迷を回復させようと、大幅な金融緩和が採られました。しかし2022年後半から新型コロナウイルスの収束もあり、経済の正常化が進み、各中央銀行の金融緩和による市場の資金供給が増えたことで、金余りと消費行動の戻りにより、高インフレとなり、インフレ率が10%以上になった国もありました。
各国の中央銀行は、このインフレ抑制のために政策金利を引き上げて、金融引き締めへと施策を転換し始めました。
日本はまだゼロ金利政策は維持しているので、政策金利は上がっていませんが、住宅ローンを決める基となる国債の長期金利は上昇傾向となっています。
今現在は、1%までは容認すると上限を決めていますが、今後、日本でもインフレが始まれば、さらに上限を引き上げるか撤廃も考えられます。
またゼロ金利政策の終了も近いのかもしれません。

20年以上の低金利も終止符?

日本では、国の成長もなかったことで、金利の低い状態が長期にわたって続いていました。
住宅ローンも低い金利となっている期間が長くなり、さらに各金融機関のキャンペーンもあり、変動金利では1%未満となる住宅ローンも多くありました。
変動金利は、ほとんどの場合、年2回適用金利の見直しが行われますが、変動がすぐに返済額に反映するのは新規借り入れの時だけで、基本的には5年間は返済額が変わらない金利タイプとなります。
前述もしましたが、日本も新型コロナウイルスによって、大幅な金融緩和が行われていますが、アメリカの金融引き締めによるFF金利レート引き上げにより、為替相場も円安・ドル高となっています。
円安になると、海外から日本に旅行をすることが割安になることから、最近では行動制限も緩和されたこともあり、外国人を多く見るようになりました。
海外からの渡航客も増えたことや国内の行動制限も緩和されたことで、日本国内の経済も正常化が進んでいるようにみえます。
さらに原油価格の高騰により、日本でもインフレの状況になってきています。
現在のインフレは、悪いインフレといえますが、今後の経済の正常化によって、お金の循環も活発になると、日本も海外のようにさらにインフレになると考えられ、今後は日銀の金融緩和の終了、金融引き締めへの転換も考えられ、住宅ローン金利の上昇の可能性も出てくるのかもしれません。

特に変動金利はリスクが高く

前述しましたが、変動金利は年2回の適用金利の見直しはあるものの、5年ごとに返済が見直されることで、見直し後の返済額が大きく上昇する可能性もあります。
ただ、急激な返済額の上昇は、返済が困難になることも考えられ、見直し後の上昇幅も1.25倍までに制限されています。
5年間の毎月の返済は変わっていなくても、金利への返済額が増え、元本の返済少なくなってくる可能性が今後は考えられます。
さらに5年後の見直し時期に、返済額が上限の1.25倍以上になっている場合には、さらに元本返済は後回しにされることになり、その後年後の返済額が増える可能性も出てくるのです。

まとめ

これまで、ファイナンシャル・プランナーとして、将来のリスク回避で変動金利よりも長期固定や全期間固定を勧めてきました。しかし、日本では超低金利が続いていたため、変動金利でも安心して借りられていた状態が続いていました。しかし現在の世界の状況や国内の状況をみると、今後の金利上昇はあり得ると筆者は考えます。
変動金利は固定金利よりも金利が低いので、魅力に感じるのかもしれませんが、今後の金利上昇による返済額の上昇や、子どもがいる世帯では教育費のことや夫婦の老後資金の準備も考えなくてはいけなくなる反面、住宅ローンの返済額が増えることで貯蓄もできなくなる可能性も考えられます。
5年ごとの返済額見直しの際に繰り上げ返済を行うことや、変動金利から固定金利への借り換えなど、対策をとる必要が出てきているのではないでしょうか。